四行法1.体位
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体位はハタ・ヨガの第一部門であるから、最初に説くことにする。心身の強健と無病、手足の軽快などを得るためには、体位を行うがよい。
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(各体位の紹介)
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この体位(蓮華の体位)を達人たちとヨガ行者たちは、牛飼い体位などとも言う。
これまで述べてきたような種々の体位の締付によって、ヨガ行者の主シヴァ神はその疲れを取り去られたのである。
体位:アーサナ
姿勢の制御を中心とする修行法である。原語である『āsana』は、「坐る、在る」などを示す『ās』と、「方法、仕方」などを示す『ana』とからなり、それは「坐法、坐り方」などを示している。一般的には「体位、ポーズ、アーサナ」などとも訳されている。
ここでは独自(教典に説かれているのとは別)に、一般的に広まっている、次の13体位を主に紹介する。
- 兎の体位 …… 逆転 + 頭頂周辺の刺激を強化する体位
- ガス抜きの体位 …… 前屈 + 骨盤周辺の刺激を強化する体位
- 蛇の体位 …… 後屈 + 尾椎周辺の刺激を強化する体位
- バッタの体位 …… 後屈 + 仙椎周辺の刺激を強化する体位
- 弓の体位 …… 後屈 + 腰椎周辺の刺激を強化する体位
- 魚の王の体位 …… 捻転 + 胸椎下〜中周辺の刺激を強化する体位
背面を伸ばす体位 …… 前屈 + 背面全体の刺激を強化する体位- 橋を架ける体位 …… 後屈 + 胸椎上周辺の刺激を強化する体位
支えられた全身の体位 …… 前屈 + 胸椎頸椎間周辺の刺激を強化する体位- 鋤の体位 …… 前屈 + 頸椎周辺の刺激を強化する体位
- 魚の体位 …… 後屈 + 頸椎上周辺の刺激を強化する体位
- ライオンの体位 …… 開口 + 頭蓋周辺の刺激を強化する体位
- 死骸の体位 …… 仰臥 + 全身の非刺激を強化する体位
これらは、全身の締付基礎体位の応用であるが、基礎を感得していれば難なく行える。
体位の意図は、調気行法を無理なく行えるように、心身に作用する停滞質と激動質への偏りを純粋質にならすことである。つまりは心身のバランスを図ることである。
取り組み方
1.体位の順序
ここでは独自に、これらの13体位を、この順番通りに行うこととした。その順序は、逆転から始まり、ほとんどは前屈と後屈の繰り返しであり、その中間に一度だけ捻転が入り、口の開放を経て、脱力で終わっている。この順番通りに行う利点は、より無理を起こさず、より安全に行うことができる点である。また、相反する気質をバランスよく繰り返すことになるので、より快適に、より効果的に心身のバランスを図ることができる点である。
それは、デスク作業などで猫背の姿勢(前屈)を続けていると、「う"~~~~ん」と伸びをして、背中周りを収縮(後屈)したくなるのと同じである。
2.特定部位の刺激強化
ここでは独自に、各体位に適合した特定部位の刺激を強化することとした。その部位h場、頭頂から始まり、脊椎の下部から上部へと徐々に移行しており、頭蓋刺激が起っていなければ、体位を適切に行えておらず、無理をしていると自覚できる点である。また、特定部位に狙いを定めることで、より効果的に、心身のバランスを図ることができる点である。それは、伸びをするとき、まんべんなく全身を締付けるというよりは、ある特定部位を狙って行うのと同じである。ただし、特定部位に刺激を集中しているからといって、無理をしていないとは限らない。
故に重要なのは、全身の締付を極めながら、特定部位の刺激を強化することである。
3.維持の活用
ここでは、これまでの基礎練習とは異なり、体位を維持することとした。体位を維持する大きな利点は、衝突感、頑張る感、しんどい感、呼吸しづらい感などがあれば、体位を適切に行えておらず、無理をしていると自覚できる点である。また、維持している間に微調整を行い、締付が極まる姿勢(力の流れ)に調えることができる点である。
故に重要なのは、より的確に締付を極めるために、維持を活用することである。
4.呼吸の活用
ここでは、体位を維持する間に3呼吸することとした。3呼吸する大きな利点は、呼吸しづらい感があれば、体位を適切に行えておらず、無理をしていると自覚できる点 である。また、吸息に伴い締付は適度に強まり、呼息に伴い締付は適度に弱まるように、刺激に強弱の波が起こることで、より快適に、より効果的に、心身のバランスを図ることができる点である。
故に重要なのは、より的確に締付を極める為に、呼吸を活用することである。
注意
まずは各体位を、わずかな筋力で維持できるような姿勢作りを練習し、次には締付が極められるように練習すること。それもできない内に、13体位、特定部位の刺激強化、体位の維持、3呼吸など行ってはならない。