【印相③】網の締付
3-070
ノドを引き詰めて、心臓の部位にしっかりとアゴをつける。これが網と呼ばれる締付であって、老死を無くする。
3-071
この締付は多くの気道の群のなかを上から流れくだる甘露を堰き止める故にこの名を得た。これはノドの多くの疾患を無くする。
3-072
網の締付はノドの引き詰めを特色とするもので、これを行うならば、かの甘露は胃の火のなかに落ち込まない。また、生気はその流れる道を間違えない。
3-073
ノドを詰めることによって、2つの生気の流れをしっかりと止めるべし。ノドにある清浄の輪(ヴィシュッディ・チャクラ)は中央の輪であるから、この締付はカラダの16の部位の締付になる。
『ハタ・ヨガ・プラディーピカー』
③ 網の締付:ジャーランダラ・バンダ
喉周辺の締付を行う印相である。ここではこれを顎窩の締付とする。
網の締付の意図は、三重の締付を感得することである。
三重の締付
網の締付は、上昇の締付の補助として自然と起こるものである。部分的に顎窩を収縮させたところで、衝突が起こるだけで快感は生じ得ない。しかし顎窩を収縮させた上で、上昇の締付を行うことで初めて快感は生じる。何故なら、上昇の締付により全身が結びつき、調和が起こるからである。
もしも上昇の締付をしたつもりでも、顎窩の締付が起っていないとしたら、それは締付が極まっていないということの証拠である。
想像の活用
喉周辺は、生気が流入するための井堰であり、また、生気が降下しないための上蓋でもあるとイメージするとよい。
中央気道をストローに例えるなら、ストローの中を上昇してきた液体が出口から流出しないように、また降下しないように、出口付近をぎゅうと歯で噛んでおくようなイメージである。
秘訣は、上昇してきた生気が、上昇し切って出口から流出しないように、また下降しないように、穏やかうに締付けておくイメージをもつこと。
名前と幻想
網の締付とは、三重の締付の際に自然と起こるものであり、極所局所的に捉えたときの名前が根の締付であり、全域的に捉えたときの名前が三重の締付である。網の締付とは、単に言葉上にだけある幻想に過ぎない。
全体一致の原理に基づき、無理のない印相を修習していきましょう。