アーユルヴェーダ講座2
古代インド医学における健康法は、三性質の調和を維持、回復するための一日の過ごし方から季節の過ごし方、体質改善法まで、各体質に応じ、詳細多岐にわたる。
1日の過ごし方は、起床時間。朝の排泄。洗顔。洗手。洗足。洗歯。洗舌。早朝冷水飲用。早朝吉祥物鑑賞。自身鑑賞(鏡を見る)。眼の健康保護。耳の健康保護。鼻の健康保護。声の健康保護。含嗽(うがい)。薬用喫煙。キンマの葉の咀嚼。芳香物を口に含む。オイルマッサージ。全身薬物塗擦法。運動。指圧法。皮膚。断髪。髭剃り。入浴。全身香料塗擦法。祈念。着衣。仕事。食事。午後の休息。夕方。旅行。環境。酒類。夕食。性生活。1日の反省。瞑想。睡眠などである。それらをまた、季節(環境)に適した過ごし方を説いている。
体質改善法:ラサーヤナ
ここでは、幾つかの体質改善法(rasāyanam)の内から「善行による体質改善法(ācāra-rasāyana)について、教典『チャラカ・サンヒター』の治療/第1章/4節からの言葉を紹介する。
- 真実を話す
- 立腹しない
- 飲酒、房事から遠ざかる
- 暴力を振るわない
- 能力以上の無理をしない
- 大変冷静であること
- 人に喜ばれるように話す
- 毎日経文を唱え、心身ともに潔白を旨とする
- 強い忍耐力を有する
- 常に寄付行為をする
- 精神的にいつも何事かに努力している
- 神、牛、バラモン(聖職者)、学者、師、年長者を尊敬する
- 激怒しない
- 生きものに慈愛を持つ
- 毎日の起床、就寝時間が規則正しいこと
- 毎日牛乳、ギーを常用する
- 土地、気象学、時間(季節、年齢の変化)および用量に正確な知識を有する
- 常識をわきまえる
- 自我を誇大しない
- 最良の善行為を行う
- 有益な食物を摂取する
- 感覚をよく制御する
- 宗教教義を毎日自覚する
人よ! これが善行による体質改善法としるべきである。これらの全ての善行に徹し体質改善法を行う人は、前述した体質改善法の効果を全て獲得することができる。とある。
結論
健康法の結論について『チャラカ・サンヒター』の総論/第5章からの言葉を紹介する。
町の保安官が、自らの町の出来事に責任を持つのと同様に、馭者(ぎょしゃ)もまた自分自身の戦車の手入れに気を配っている。
賢者よ! それ故、自分自身の身体に対して十分注意深くありなさい。とある。
不注意による激動、粗暴、焦燥、浮つき、執着…… 停滞、緩慢、怠惰、落ち込み、妄信……などを生活から排除し、注意による純粋、安穏、適切、平静、慈愛……などに生活を調えることが、最善の体質改善法と言えるのでしょう。
参考にした文献