【調気⓪】気道浄化の調気
2-07
ヨガ行者は蓮華の坐を組み、月の気道を通じて生気を体内に取り入れ、それを自己の力に応じて体内に保持した後、日の気道によって吐くべし。
2-08
次に、日の気道によって生気を取り入れ、ゆっくりと体内に満たすべし。それから、形式の如く保気した後、月の気道によって吐き出すべし。
2-09
その後は、生気を吐き出した方の気道をもって吸い、極度に長い間生気を止めておき、それから、他方の気道によってゆっくりと吐き出すべし。決して粗暴に行ってはならない。
『ハタ・ヨガ・プラディーピカー』
⓪ 気道浄化:ナーディ・ショーダナ
左鼻腔と右鼻腔の片側ずつ生気を通すことにより、停滞質と激動質の偏りを均衡化する調気である。
調気の意図は、気道を浄化することである。
1.準備過程
1.正坐する
2.脚はそのまま
3.外手首窩の引入の形体で、鼻孔を塞ぐ準備をする
4.目を瞑(つむ)る
5.適度に徐々に、息を吸いきる
6.適度に徐々に、息を吐ききる
鼻孔の塞ぎ方
右手の場合、中指の第一関節の内側で左鼻孔を塞ぎ、親指の腹で右鼻孔を塞ぐ。
注意
一般的な形体のように、人差し指と中指を額に当てていたり、親指と人差し指で鼻孔を摘まんでいては無理が起こる。
2.調気過程
7.左鼻孔から吸気
8.保気
9.右鼻孔から呼気
10.右鼻孔から吸気
11.保気
12.左鼻孔から呼気
※ 7~12までが1回である。
調気のポイント
- 吸気に伴い、姿勢は拳上姿勢(やや後屈姿勢)へ移行していきます。
- 保気ではその力の流れ、特に横隔膜の上向きの流れを維持しておきます。
- 呼気に伴い、姿勢はやや前屈姿勢へ移行していきます。
3.脱力過程
13.体位の解放(吸息)
14.脱力の強化(呼吸)
15.締付の極化(止息)
16.休息する
無意図に落ち着く姿勢を見つけましょう。
吸気と呼気(と保気)
吸気は空気を吸うことであり、呼気は空気を吐くことである。吸気では快適に吸い切り肺を膨らます。呼気では快適に吐き切り肺を潰す。
どちらも締付と同じように決して頑張ることなく、穏やかに行うこと。
律動(リズム)と拍子(ビート)
教典『ゲーランダ・サンヒター』での拍子を参考にしつつも、ここでは独自に、以下の段階を踏んで練習することを勧める。また、吸気は「す」と「
吸気:保気:呼気 | 回数 | |
初心者 | 4拍 : 4拍 : 4拍 | 3~5回ほど |
4拍 : 4拍 : 8拍 | ||
中級者 | 4拍 : 8拍 : 8拍 | 適度 |
上級者 | 4拍 :16拍: 8拍 | 適度 |
- 吸気は、心の中で(すーぅー
ふ わーぁー)と唱えて4拍とる - 保気は、4拍なら、心の中で(んー
ん ーん ーん ー)と唱える - 呼気は、8拍なら、心の中で(はーぁーぁーぁーふーぅーぅーぅー)と唱えて4拍とる
秘訣は、吸気に伴い、腹の圧縮、腋窩の引入、顎窩の引入が自然と起こること。指定した言葉を黙誦(心の中で唱える)しながら行うこと。
言葉を黙誦しなくてもよいし、好きな言葉を黙誦してもよい。呼吸しやすい言葉を研鑽してもよい。
注意
※ 鼻の通りが滞っているときは行わないこと
※ 勧めている回数は目安とし、快適に行える範囲で行うこと
※ 適度に徐々に、リズムの変更、回数の増加をしていくこと
※ 速すぎず遅すぎず、円滑に流れる快適な呼気を基本体位「1」とすること
※ 慣れないうちは両鼻腔で行い、しかるべき後に片鼻交互で行うこと
無駄を取り除いた、無理のない調気を修習していきましょう。