【体位⑥】魚の王の体位
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右足を左の腿の付根に引きつけ、左足は右膝の外側に置き、それを掴んで上体を捻る。これが聖者魚の王(マツィエンドラ)の体位である。
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魚の王(マツィエンドラ)の体位を毎日修習するならば、消化力を強め、耐え難い病気の集団を破ることができる。またクンダリニーの覚醒を促し、月を安定させる。
『ハタ・ヨガ・プラディーピカー』
⑥ 魚の王の体位:マツィエンドラ・アーサナ
(左)捻の締付に加え、胸椎下から中周辺(中背)右側の刺激を強化する体位である。脚の形体が特徴である。体位の語源である『Matsyendra』とは、「魚の王」を意味している。シヴァ神がハタ・ヨガの奥義を知った魚を聖者の姿に変身させ「魚の王」と名付けたという伝説がある、らしい……。その聖者は先ず初めに、捻れることを珍しがったのかもしれない。
魚の王の意図は、胸椎下から中周辺(中背)のバランスを図ることである。
注意
※ 頑張らなければ(無理をしなけらば)、脚を組めない人は立位、正坐、椅子坐などで行うこと
1.準備過程
準備過程1
1.脚を前方へ伸ばして坐る
2.左膝を深く曲げて、その足を右脚の外側に置く
3.左手で右踵を肛門付近に寄せるように、右膝を深く曲げる
4.右踵の上に坐り、右手で左足を寄せて、左膝を深く曲げる
準備過程2
1.坐りなおす
2.脚は膝窩の引入(膝の屈曲)
3.腕は肘窩の引入(肘の屈曲)
4.顔は形式通り
5.適度に徐々に、息を吸いきる
6.適度に徐々に、息を吐ききる
2.締付過程
7.捻転(吸息)
8.締付の維持(呼吸)
9.締付の強化(3呼吸目)
10.締付の極化(止息)
深く捻ろうとか意図してはいけません。
左捻転では、鳩尾を前右に方向付けて押し出すことを意図しましょう(背中の右側を前右に方向付けて引き入れることを意図しましょう)。
11.体位の返戻(呼息)
3.脱力過程
12.体位の解放(吸息)
13.脱力の強化(呼吸)
14.締付の極化(止息)
15.休息する
※ 右捻転も行う
脚を崩し、仰向けになってもいいです。
無意図に落ち着く姿勢を見つけましょう。
過誤体位
注意
一般的な形体のように(左)膝を立てているにもかかわらず骨盤を起こして胸を張ろうと意図していては、後屈する筋力とぶつかり合うため締付は極まらない。また、顔を上げていたり(顔が下を向いていない)、右手を左膝にあてたり、お尻を床におろしていたりすれば、さらに無理が起こる。
無駄を取り除いた、無理のない体位を修習していきましょう。