【補足①】食事節度

ハタ・ヨガを一から習う

2-58

バターと甘味をもって味付けされた食物、胃の四分の一を空けておくこと、ただ生命への愛だけから食事すること、これが節食といわれるものである。

2-59

辛いもの、酸っぱいもの、刺激性のあるもの、塩辛いもの、熱いもの、菜っ葉、ビンロウジュの実、胡麻の油、胡麻、からし、酒、魚、羊肉などの獣肉、凝固した牛乳、水で割ったバターミルク、クラタ豆、ジュジュベの実、油であげた菓子、ヒングウ樹脂、ニンニクなどは、行者には不適当な食物といわれている。

2-60

また、次のようなものも不健康な食物と心得るべきである。いったん冷えたものを温めた食物、油っ気がなくて乾いた食物、過度に塩辛いもの、酸味をおびたもの、不消化なもの、野菜、ウトカタなどは避けるがよい。

2-62

行者にとって好適な食物は次の如くである。小麦、米、大麦、早稲米、優秀な穀物、生乳、バター、氷砂糖、新鮮なバター、白砂糖、蜜、干し生姜、キウリなどの五種の野菜、豆類、清水などである。

2-63

また、ヨガ行者は栄養になる食物、甘味のあるもの、バター入りの食物、生乳入りのもの、体力をつけるもの、その他自分の好む適当なものを食するがよい。

『ハタ・ヨガ・プラディーピカー』

補足① 食事節度

ヨガ行者にとって適不適な食事に関する事項である。

食事節制の意図は、心身に作用する停滞質と激動質への偏りを純粋質に均すことである。つまりは心身のバランスを図り、心身を健全に保つことである。

節食

快楽刺激を得るためではなく、身体の健全さ快適さなどを保つために食事をとることである。故に、身体の要求に従い、腹がすいたら食べ、喉が渇いたら飲み、程よく満たされたら終えることが、食事に対する基本態度である。

結局のところ、日本人であるならば先人から指導されてきたであろう言葉を指標とし、「地産地消」の新鮮な「旬」の食材を料理し、食べる前には落ち着いて「いただきます」を言い、「慌てずよく噛んで」「好き嫌いせず残さず」「腹八分」で食べ終えたなら、落ち着いて「ごちそうさまでした」を言うことである。

また食後は、消化の働きを促すために停滞質に傾くものである。緑茶でも飲んでゆっくり寛いだり、横になったりするのが適している。

不適な食物

心身に鎮静、弛緩をもたらしやすい停滞質に偏った停滞質食と、心身に興奮、緊張をもたらしやすい激動質に偏った激動質食は不適切とされる。

何事も一概には言えないが、激動質食は鋭い刺激があり、胸やけ(胃酸過多)を起こしたり、急激に吸収され血圧、発汗、栄養などの過剰を起こしたり、逆に吸収されず急激に排泄される下痢やドロドロと排泄される軟便をおこすような食物であろう。停滞質食は鈍く刺激がなく、胃もたれ(消化不良)を起こしたり、緩慢に吸収されたり吸収されず血圧、発汗、栄養などの不足を起こしたり、コロコロと排泄される硬便や、停滞する便秘を起こすような食物であろう。

好適な食物

心身に快適、安定をもたらしやすい均衡質に調った純粋質食が適切とされる。純粋質食は、適切な刺激があり、適切に消化され、適切に吸収され、スルスルと排泄される快便を起こすような食物であろう。

自分の好む適当なもの

これらの3つの食質による心身の反応は、食べ方、食べる量、食べる時、食べ合わせなどや、消化力、吸収力、排泄力などにも影響を受ける。結局のところ、身体機能に適し、消化、吸収、排泄が円滑に流れるような食事をすることである。

自然な均衡が傾き過ぎているであろう、極端に刺激のある物、人工的に精製された物など(激動質)、極端に古い物、乾燥した物、人工的に加工された物など(停滞質)、また極端に生活環境に合わない季節外れの物、遠方異国で育った物などは、控えるべきであろう。

純粋に「美味しい」と感じられる食べ物は、身体が欲している適切な食べ物と言えるかもしれません。

秘訣は、何を食べるか(what)以上に、どのような態度で食べるのか(How)を重要視すること。そのために、何のために食べるのか(Why)という動機を明確(純粋)にしておくこと。

承知の通り、肉体は主として食べた物によって形作られておる。食べる物が粗雑か、精妙かによって、心身のバランス、健康状態は決定されると言えるじゃろう。


故に、ヨガ修行者ならずとも食事は重要な行為であると心得、節食を心掛けるが良いのじゃ。

無駄を取り除いた、無理のない食事を摂取していきましょう。


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